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籠の猫~自業自得

船橋つとむTsutomu Funabashi

作品概要

制作年
2017年
使用素材
石粉粘土、樹脂粘土、針金、アクリル絵具
サイズ
300mm(幅)×215mm(高さ)×220mm(奥行き)
特筆事項
造形物は台座に固定されており、鳥かごの扉は開閉できます。

これやんの作品コメント

船橋さんの作品はファンの方も多く、なかなか入手が難しいのですが、今回は「これやん」のために特別に出品してもらいました。鳥を襲おうとした猫が誤ってカゴに入ってしまい、立場が逆転してしまったユーモアとファンタジーを楽しめる作品です。籠に閉じこめられて落ち込んでいる猫と、してやった感のある鳥、いずれも表情がとてもリアル感で、思わず“自業自得”という副題を提案させてもらいました。スーパーリアルなイラストを描いていた船橋さんの描写力が生きています。
SOLD OUT

STORY

倉本:初めて作品を見せてもらいましたが、ここまでリアルにできているのはすごいですね?

船橋:僕は専門的に彫刻をやっていたわけでもないんです。以前はイラストレーターを20年ほどやっていまして、スーパーリアルという写実的なイラストを手で描くことにこだわっていたのですが、デジタルへと移行する時期に乗り切れず、需要が減ってしまって……それで二次元のイラストを三次元に持ってきたという感じでした。素材は石粉粘土を使っていて、台は既成品ですが、あとはすべて手作りです。土台を発泡スチロールで作って形を決めてから、粘土をつけていきます。

倉本:立体物の魅力をどんなところに感じていますか?

船橋:やはり平面は二次元ですから一方向にしか楽しめません。でも、三次元になるとあらゆる角度から見られるので、角度によって表情が違うという面白さがあります。今思えば、平面を描いていた頃から頭の中では立体をイメージしながら構築していたのかもしれません。

倉本:船橋さんの作品にはアイロニーやユーモアもありますね。

船橋:それも僕の作品の特徴のひとつでもあります。物語性があるほうが見ている人も楽しめると思って、発展させてきました。

倉本:やっぱり造形として作りたい生き物は猫なのですか?

船橋:基本は猫ですね。犬だと散歩だったりと、関わらないといけない時間が多いですが、猫だとわりと放っておいてもらえるんです。一人でこつこつと作業をしているので、つかずはなれずの関係が心地よくて。昔から動物が好きで、猫も犬も飼っていましたが、猫はこれまで途切れることなく飼っています。最初は猫単体の作品を作っていましたが、それから猫の生活環境や情景も含めて作るようになりました。例えば野良猫は自然の中にいるので、昆虫との関わり方とかを表現したりするうちに、どんどん発展していきました。

倉本:他にも、怪獣や(歌川)国芳のモチーフなどいろんなテーマがありますね。

船橋:僕は怪獣映画で育った世代ですし、ただ猫だけを作っていると飽きてしまうから、というのもあります(笑)。最近では民芸品の世界の面白さに気がつき、そういうモチーフも作っています。東北にはタコ=多幸と猫という縁起物の民芸があるのですが、それに触発されて今はタコと猫をモチーフにした作品を作っています。