「笑」って文字が前から気になっていて、ちょうどなにか作ろうと思っていたときに「うれしい」というテーマが来ました。いいきっかけになりました。
現代だとこの文字は、LINEなどのメッセージで日常的に使われていて、「うれしい」っていう感情だけじゃなくて自分を皮肉ったり、まわりを冷笑したりいろんな意味を持っています。それが完全に絵文字みたいにアイコン化していて、言葉として捉えているのか、イメージとして捉えているのか、っていうところの感覚のズレも面白いなと思いました。それと同時にこの漢字の成り立ちは、巫女が手を上げて舞い踊る様からきていて、祈りのイメージ、人が神を喜ばせる舞いという意味があります。そこも「うれしい」というキーワードに繋がるなと。
一般的な言語体系から文字をずらしたり、解放したりすることによって、文字の印象や意味を再認識するきっかけみたいなものを作りたくて、カラフルに、ランダムに、散らばせるような配置にしています。下からいろんな色を積み重ねて、たくさんの「笑」って文字が重層化して、最終的にこういうイメージになりました。