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ミミイカカプセル

目黒芳枝Yoshie Meguro

作品概要

制作年
2020年
素材
耐熱ガラス、真鍮
サイズ
47mm(幅)×120mm(高さ)×47mm(奥行き)

倉本美津留のこれやんコメント

理化学ガラスから個性的な生き物を浮き上がらせるガラス作家、目黒芳枝さん。カプセルのなかに海の生き物を表現したシリーズで、こちらはミミイカを入れた作品。もともと小型で耳のような造形を持った可愛らしいイカの品種ですが、そこまでリアルによらず、暖色系の凹凸を用いることでガラスらしい透明感を生かした色彩感覚が印象的です。こちらも作品のサイズが小さめで、家に飾りやすいのも魅力です。
SOLD OUT

STORY

倉本:ガラスに興味を持ったのは何がきっかけだったのですか?

目黒:私は石川県出身なのですが、短大を卒業して就職先を探したときに、自分が何が好きかなと考えたら“ガラスだ”と思ったんです。それで能登島にあるガラス工房に吹きガラスを学びました。でも、体力的に辛く、制作をサポートしてくれる人材も必要になるので、自分には合わないなと思いました。

倉本:理化学ガラスを作られる職人さんだったんですよね?

目黒:はい、工房で学んでいるときにバーナーワークでガラスを作ることを知り、その後にバーナーワークの学ぶ旅に出ました。その途中で、とある理化学ガラスのメーカーと出会い、制作方法を学びながら働くようになりました。理化学ガラスの機能的な美しさに魅了されながらも、もっと自分を出した制作をしたいと思うようになり、その頃に新婚旅行で訪れた南ドイツで、たまたま見つけたガラスの学校の自由な雰囲気が惹かれ、旦那と一緒に仕事を辞めて、その学校に入学しました。最初はバーナーワークを学ぶつもりでしたが、私の資料を見た学校側は“バーナーワークの技術は体得しているから必要ない”と言われ、絵付けコースを経てデザインコースに入学し、作品の見せ方や絵付けなどを学びました。

倉本:面白い遍歴をお持ちですね。理化学ガラスの工業デザイン的な雰囲気を持った独特な作風ですが、どんな風にして作っていくのですか?

目黒:まずガラス管を加熱して、そこから生き物の造形を作ります。それをガラス管に入れたり、バーナーで熱を加えて伸ばしたりします。これは理化学ガラスを作る技法を踏襲していて、パーツを作り上げてから、組み立てていきます。理化学ガラスはすべて均整がとれているように見えますが、私にとってはあるものに対してだけ“可愛い”と感じる感覚があり、そういうときは自分好みの角度であるかとか、バランスの良さが共通していたりします。

倉本:モチーフがイカや深海魚である理由は?

目黒:私はダイビングが好きで、海を泳いでいる魚って生き生きしていて本当に綺麗なんですよ。ダイビングは魚たちの世界に私たちがお邪魔する感覚があって、そのときに感じた、生きた魚やイカの綺麗さを作品で表現したいと思っています。例えば、理化学ガラス冷却器が長い間放置されたら、それが深海魚になって泳ぎだしたというようなイメージを持っています。ガラスの流れと生き物の流れが一体化したような造形が好きですね。