SALT ARMS M1911 Series ’70 No.4
作品概要
- 制作年
- 2013年
- 素材
- 岩塩
- サイズ
- 216mm(幅)×140mm(高さ)×35mm(奥行き)/本体
300mm(幅)×265mm(高さ)×220mm(奥行き)/展示サイズ - 特筆事項
- ・外気に触れてもすぐに溶けだすことはありませんが、素材の性質上ケースは被せた状態を推奨します。
・ケース、ライトボックス、ACアダプター、マニュアル等、展示状態にするための一式が付属します。
これやんの作品コメント
STORY
これやん:ヒグラシさん立体の造形作家として活動されていますが、立体作品に興味を持ったきっかけは?
ヒグラシ:子供の頃から粘土細工が好きでした。いつだったか、少し記憶が曖昧なのですが、学生時代に上野の森美術館でコンスタンティン・ブランクーシの展示を見たんです。そこで「空間の鳥」を見て、作り込んでいるのにシンプルで美しい造形に影響を受けました。その後大学では石彫を勉強しました。
これやん:作家活動を始めた頃はどんな作風でしたか?
ヒグラシ:卒業後の数年間は団体展に石彫の抽象作品を出品していました。先輩作家の方もいるなかで勝負を続けていっても、ここで頭ひとつ抜けるのは難しいと思い、作風もしくは素材を変える必要があると考えるようになりました。そんなときにとある知人から“岩塩を使ってみたら?”と言われたんです。
これやん:それは大きな転換ですね。
ヒグラシ:何百年も保存できる石に対して、岩塩は水をかけたら溶けてしまうわけですから。でも、触ってもみないのに否定はできないと思って、岩塩を彫って抽象作品を作ってみました。そうしたら石よりも柔らかくて彫りやすいし、これなら石彫と同じような技術でいけるなと。ただ、塩なので道具は錆びやすかったですね。
これやん:作風が変化したのはどういう経緯でしたか?
ヒグラシ:岩塩を素材にしたものの、抽象彫刻を作っているぶんには石を彫っていた頃とあまり変化を感じなかったので、溶けるという性質を生かそうと思いました。溶けるのは素材の特徴なのだから“マイナスではない”と捉えて、“溶けてプラスになるものは何なのか?”と、いろんな人と話し合いました。そのうちにこれは“武器”だなと。もともと学生の頃からモデルガンが趣味だったこともあり、これを岩塩で作ってみようと。
これやん:抽象作品から一気に具象へと変化したわけですね。お持ちいただいた作品はどのようにして作っているのですか?
ヒグラシ:モデルガンと同じように各パーツを削りながら作って、最終的に組み合わせています。武器は本来鉄で、僕が使っている素材は塩なので、多少のアレンジは必要ですが、できるだけリアルに近づけています。武器は工業製品なので形状も色も均一ですが、それを岩塩という天然素材を使うことで、自然な色合いで表現できるのが面白いと思っています。そういった見た目の美しさがありながらも武器であるというのが魅力ですね。