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或る夜

大村雪乃Yukino Ohmura

作品概要

制作年
2023年
素材
パネル、シール、アクリル
サイズ
727mm(幅)×530mm(高さ)×70mm(奥行き)
販売価格¥297,000(税込み)

倉本美津留のこれやんコメント

夜景を丸シールで表現する現代アーティストの大村雪乃さん。こちらは大村さんが自発的に制作する丸シールの夜景作品の“最終作”として制作したという貴重な作品です。作品で表現しているのは場所も時間も特定しない、大村さんにとっての夜景の原風景のイメージです。際だっているのは夜景の明るさよりも“暗さ”の表現。少し青みがかった闇の色に、シックな色づかいで光の角度や反射などを巧みに描写していて、離れて見ると情景が驚くほど立体的に浮かび上がります。丸シールを使った大村さんの夜景表現においてひとつの到達点とも言える作品です。大村さんにとって夜景の作品に通底するイメージは“孤独”であり、それを引き出したというのが本作品。長く飾ってほしい作品です。
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STORY

これやん:シールを使って夜景を表現するというのは独特ですね。キャッチーだしエッジも立っている。どういうきっかけでこういう表現になったのですか?

大村:横浜の高台に住んでいたことがあって、みなとみらいのランドマークタワーの夜景をよく見ていました。部屋には父親が持っていた香港の夜景のパズルが飾ってあり、自分が美術家になろうという日々に毎日それを見ていました。でも、17歳くらいのときに両親が離婚をして、父がその作品を持って行ってしまったんです。ある日、その絵がなくなったときの喪失感が大きいことに気がついて。もしかして美術家になることで、この絵をとり戻そうとしているんじゃないかって改めて思いました。芸術というものを教えてくれたのも父親でしたから。

これやん:それが夜景につながっていたんですね。

大村:もともとアイディアを形にするということが好きで、美大の油絵科にいたのですが、絵を描かずに映像やインスタレーションを作っていました。シールを使いはじめたのは、たまたま手元にシールを持っていて、これで何かできることはないかなと考えときに、ふと夜景にいきつきました。

これやん:夜景以外の風景というのは考えられなかったんですか? 例えば昼間だったりとか。

大村:そうですね。光のひとつひとつをシールで置き換えられるのが重要で、それが昼間だとするとコンセプトとして意味がなくなってしまうから、そこは崩したくないんです。昼間のビルをシールで表現しようとすると、絵の具の重ね塗りと同じになってしまいますから。

これやん:シールで色を忠実に表現しているんですね。

大村:シールの色には限りがあるので、それを組み合わせることで遠くから見たときに、色が混じり合っていくように見えるようになります。絵の構図的には建物を無くしたりもしますが、色に関してはかぎりなく本物に近づけるようにしています。

これやん:それで近くで見たときと遠くでみたときにマジックが起こるのですね。

大村:はい、近くで見たときはシールの素材感などを見てもらったりして、距離感による見え方の違いを楽しみながら、じっくり時間をかけて見ていただける作品を作っていきたいと思っています。