丁髷目高鰈(小)
作品概要
- 制作年
- 2016年
- エディション
- 1/10
- 使用素材
- Type C Print
- サイズ
- 286mm(幅)×377mm(高さ)/イメージ
331mm(幅)×422mm(高さ)/プリント
これやんの作品コメント
STORY
倉本:僕は普段からアートと笑いを架け橋にする意識を持っていて、うつさんの作品を見たときにその感覚にすごく近いと、勝手に思っていたんです。こんなことを言われたら、腹立つって言われるかもしれないけど(笑)、笑えるのもアートの価値のひとつだと思っていて。一番最初にタコの貴婦人の作品を見たときに、僕にとっての褒め言葉である“何やってんねん”っていう、言葉が出てきました(笑)。インパクトがあって、誰もやっていない手法だと思ったんです。
うつ:食べ物を作品に使うとバチが当たるみたいな考えが日本にはあって、それがまずひとつのタブーですよね。それにヨーロッパはキリスト教をいじったりするのは、宗教観がしっかりある人には受け入れられない。でも、私にとってはいろんな神様が面白いというか、単純にビジュアルとしてしか見てないので、失礼なことでも平気でできちゃう。だからツッコミを入れやすいのかもしれないです。
倉本:その興味の持ち方が幼児の感覚だと思うんです。褒め言葉ですよ(笑)。意味づけや論理の前に、面白いからやっちゃおうっていうね。それと、食べ物に違う価値を見いだして、写真として作品化しているという感じもあります。
うつ:食べ物というのは、見る人がその物に対して、普段の生活の中で体験を積んでるので、身近に感じてもらえるんだと思います。あと、父がその辺にいる虫をとりあえず捕まえてきて飼っていて、私も同じようなことをしていました。それもあって、食べ物を生き物として捉える癖がついているんだと思います。あと、生き物の形そのものが美しいと思っていて、それをそのまま残すには写真しかないなと。例えば、虫もなるべく殺さないように、生かしたまま撮ろうと思っていて。撮影しているときも虫たちと会話しながら撮っています。
倉本:自然のものと自然にコラボしているから、作品に力があって、無理矢理感がないんでしょうね。「丁髷目高鰈」はどのようにしてできたものなんですか?
うつ:はい、ありがとうございます。カレイをひっくりかえして縦にしてみたときに“これちょんまげに見えるよな”と(笑)。この作品を作ったのはちょうど滞在制作のときで材料があまりなくて。硬いよりも湿り気のある質感が良かったので、自分が食べるために持っていった麦を茹でました。麦はちょうど真ん中に線が入っていて、それが目と口を表すのにちょうどいいんですよね(笑)。
倉本:表情がちゃんと出ていますもんね!
うつ:「団扇海老千手観音」と同じく、これも裏返すことによって出会いがありました(笑)。