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ユアの花

岸勇樹Yuuki Kishi

作品概要

制作年
2018年
使用素材
ロットリングイソグラフ、ケント紙
サイズ
85mm(幅)×143mm(高さ)/作品
247mm(幅)×303mm(高さ)/額装
特筆事項
原画
販売価格¥176,000(税込み)

倉本美津留のこれやんコメント

ロットリングペンを用いてファンタジーな世界を描き、国内外で多くの賞を受賞している注目の若手アーティスト、岸勇樹さん。ほとんど販売しないという貴重な原画を特別に出品していただきました。彼が作り出しているファンタジーの世界にて、神父さんが説法として語るストーリーを描いたのがこちらの「ユアの花」。0.1mmの製図ペンを用いた緻密な表現が魅力の作品で、縦のストロークを用いながらペン先の角度を変えることで黒の濃淡を表現しています。ちなみに原画の販売は約2年振りということなので、この機会をお見逃しなく!
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STORY

倉本:岸さんがペン画へと辿り着いた経緯を教えてもらえますか?

岸:はい、ロットリングというドイツの製図ペンで描いています。もともと僕はディズニーランドの建築デザインがしたくて大学の建築学科に入ったのですが、その頃に東京ディズニーランドに電話で“建物のデザインをやりたい”と伝えたら、“建築デザインはアメリカがやることが多いので難しいかもしれません”と教えてくださって、それで自分の夢がいったん無くなってしまいました。

倉本:普通ならそれでディズニーは諦めて、他の建築はどうかなという風に進みそうですね。

岸:僕はピンポイントで“これがやりたい”って動いてしまうタイプでして……例えば幼稚園の時になりたいものがカブトムシで、女性用の髪を止める長いピンを頭の真ん中に付けて、カブトムシっておしっこをする時に片足を上げますが、それにならってトイレに行ったときも四つん這いになって片足を上げたり、3食全部スイカにしたり……ひとつのものになりたくなると、ディテールにこだわって目指してしまうんです。

倉本:カブトムシになりたかったんや! それはディズニーの建築家よりも難しいですね(笑)。で、その後は、どうなったんですか?

岸:大学4年生で町おこしの課題研究で、建物の図面に配置する植栽をペンで描く機会がありました。普通なら建物の面図に配置する植栽もパソコンで描きますが、それがあまりに無機質で、担当の先生が“誰か手描きで描ける人は?”と言われて。じゃあ、やってみようと思って、ロットリングの製図ペンを使って植栽を描いたんです。それがめちゃくちゃ面白くて“これだ!”と思いました。苦もなく、むしろ楽しく長時間できることを見つけたことが嬉しくて、この作業をずっとできる仕事は何かと考えたら“絵を描く仕事だ”と。それで自分の中でファンタジーの世界を描こうと決めました。

倉本:ファンタジーを描こうと決めたのはいつでしたか?

岸:絵をはじめる前からです。幼い頃からファンタジーが好きで、自分の中の空想の世界を書き留めた文章があって、それをもとに自分の中の世界を明確に作ろうと思いました。その世界の音や匂い、食事、言語、文字まで、全部を独自に考えて、絵として描写をはじめました。これなら幼い頃になりたかったカブトムシとは違って、作ることができる世界ですし(笑)。なので、歴史、年表、宇宙の誕生などをストーリーを作って、それぞれのシーンを絵にしています、今はその途中の段階ですね。

倉本:話を聞くほどに特殊なアーティストですね。

岸:DNAなのかなとも思います。僕がカブトムシを目指して手を使わずにスイカを食べていたとき、普通なら止められると思いますが、“どんどん行け”って感じでしたし(笑)。そういう環境に育ちながらも、中学、高校は運動部、大学も理系だったので、その時期に自分のなかのお花畑な世界から一旦離れて、理論的なストーリーを人に伝えることができるようになってから、またファンタジーの世界の表現へと戻ってこられたのが、今の活動につながっていると思います。