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No.72

足立篤史Atsushi Adachi

作品概要

制作年
2021年
素材
新聞縮刷版(1943年発刊-日本)、イラストレーションボード
サイズ
170mm(幅)×140mm(高さ)×82mm(奥行き)/額装サイズ
75mm(幅)×54mm(高さ)×20mm(奥行き)/作品サイズ

これやんの作品コメント

戦時中の新聞記事を用いて兵器や軍艦、飛行機などの立体作品で「岡本太郎現代芸術賞」や「TAGBOAT AWARD」の入選経験を持つ足立篤史さん、久々の新作が登場です。戦闘機と蛾の造形が似ていると思ったことがきっかけ生まれた“標本シリーズ”は、標本箱のなかに歴史・記憶を保管するコンセプトを持っています。その72作目となるこちらは日本の一式戦闘機(隼)をモチーフにしています。コンパクトな戦闘機のサイズに合わせて、昔の新聞記事も1943年の縮刷版を使用。2年間の試行錯誤の末に完成した特注アクリルケースにより、壁に掛けても棚に置いても、どの角度からも作品を鑑賞できるのも本作の特徴です。
SOLD OUT

STORY

倉本:足立さんは古い新聞を使って戦艦を作っていますが、どういうプロセスでこういった作品を作るようになったのですか?

足立:もともとはデザイン科志望でしたが、浪人時代に予備校で“本を作る”という課題があって、普通に本をデザインしても面白くないと思い、本を切り刻んで立体作品にしたのが始まりでした。

倉本:本のデザインがきっかけだったんですね。戦艦がモチーフなのはどうしてですか?

足立:僕は“ミリタリーオタク”と言うか、子供の頃からずっとプラモデルも好きだったんです。例えば、零戦の歴史を調べると、パイロットの暗い歴史とかもあったり、ただカッコイイだけではないものが段々と見えてくるようになりました。作ろうとするモチーフをそういう風に見ることによって、過去の記憶を思い出させるというか。作品に対しての記憶が刻まれていることを視覚的に表現しようと思って、こういった手法になりました。

倉本:コンセプチュアルですね。まずは昔の新聞の記事を探してから作っていくんですよね?

足立:はい、以前はそういった記事が手に入りづらいと思ってコピーしたものを使ったりしていましたが、本物の記事のほうが説得性もあるので、今はモチーフとなる年代の記事を使っています。昔の新聞や海外の雑誌を探して、その記事に合致したものを作っています。逆に作りたいものが先にあるときは本屋さんとか、色んな所からピンポイントな資料を探しながら作っていきます。神田界隈の古書店や蚤の市とか行ったり、ネット・オークションなどを調べて入手していますね。

倉本:記事を集めたあとは、どうやって立体にしていくのですか?

足立:イラストレーション・ボードを重ねたり削ったりして原型を作り、記事を貼り付けていきます。細かい所はレーザーカッターなども使いながらひとつひとつ組み立てます。新聞などの記事は状態によっては脆いときもあるので、そういう時は接着剤やスプレーを吹いて強化しています。

倉本:やはり戦争へのアンチテーゼとしての思いも込められているんですか?

足立:もちろん根本的にそういう思いはありますが、それを大々的に言うのも正直ちょっと違うと思っています。戦争って人の汚い面が一番出ていて、そういった状況での人間の行動というもの、それと兵器や軍艦などの美しさ、機能美といった部分のほうに自分としては興味があります。