「まろやか」で、一番最初に思ったのは味覚のイメージでした。そこから言葉を調べてみると、味のほかに形が丸い様子という意味もあり、これは私の作風とも合うと思いました。まろやかという言葉から思いついたのが牛乳でした。牛乳はコーヒーに入れたり、何かに足すことで味わいをまろやかにするので、自分の作風に牛乳を足してまろやかにしたいなと思いました。
　制作しながらまろやかの意味をあらためて考えるうちに、人間でも性格が丸い人や尖った人がいて、コミュニケーションを取るうえでは、まろやかな性格のほうがいろいろとスムーズに事が運ぶなと思いました。そういった人との関わりを表現するために、ふたつのパーツが重なりあった形にしました。脚の部分にいろんな色が入っているのは、牛乳が混ざっていく感じを表現していて、ところどころピンクっぽいのは、いちごミルクのイメージも入っています。
　ひとつのキャラクターのなかに二つの要素が組み合わさっているのが、この作品で表現したいことでした。牛乳のイメージから出発しましたが、牛乳がもたらす効果のほうが重要なんだと、作品を作ることで感じました。