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BIRD

吉武弘樹Hiroki Yoshitake

作品概要

制作年
2020年
使用素材
mixedmedia
サイズ
242mm(幅)×333mm(高さ)×20mm(奥行き)

倉本美津留のこれやんコメント

緻密な点描で圧倒的な世界を描くアーティスト、吉武弘樹さん。こちらも籃胎漆器の影響を受けて制作されていて、万華鏡と星の世界を融合したという作品。ひとつの水滴のなかに星や万華鏡の世界があり、それが集合して鳥のモチーフを生み出しています。花鳥風月をイメージして作られたこちらの作品は、市松模様を黒の点描で表現したり、古来から受け継がれる日本画のイメージを織り交ぜています。スワロフスキーと独特の点描を用いた造形はとても綺麗で、家に飾りたくなる作品です。
SOLD OUT

STORY

倉本:点描が表現の原点にありますが、そこにいきついたのは?

吉武:キャンバスに線を描くと簡単に面積は埋まりますが、そこに念や生きている感じを前面に出したいと思いました。余白から描写物にいたるまで主役がなく、すべてが平等な世界を作りたいと思ったのが点描に至った理由です。

倉本:そのアイディアはいつ頃発見したのですか?

吉武:大学生の頃です。まだ、自分が表現したい方法が分からずに悶々としているとき、大学で古美術や仏教美術を研究する機会がありました。そこですべてのものは終わることがなく、生まれ変わるという輪廻転生の概念を知ったのがはじまりでした。それは原子が無くならずに新たな粒子となり物質を構築していくのと同じで、それを点で表現することで、すべてが繋がっている世界観をテーマにしています。

倉本:吉武さんは森などの自然を点描で表現していますが、もともと風景を描くのが好きでしたか?

吉武:風景はあまり描いていませんでした。今言った輪廻転生をテーマにしようと決めたときに、自分はまず何をやったらいいかを考えたときに、まずは地元の福岡の風景を一度描いてみようと思い、自然を描くようになりました。

倉本:今回持ってきていただいた作品は、これまでの作品とは異なる作風ですね。

吉武:わたしの実家は漆器屋さんを営んでいて、竹を編んで漆をかけていくという福岡の伝統工芸でもある籃胎漆器を作っていました。この器は光の当たり具合で模様が見えますが、それを自分の絵画に応用しようと思って作ったのがこの作品です。液体の表面張力を生かして、絵の具を垂らしては乾かすという作業を重ね、何層にもすることで点を表現しています。

倉本:絵の具で作られているんですか!

吉武:アクリル絵の具に樹脂を混ぜたものを使っています。このシリーズは時間(とき)がテーマで、作品に当たる光が反射することで、その光が見えます。赤い光を受ければ赤く見えますし、例えばプロジェクターで光を投影するとそれを映し出します。あえて光を当てなくても、飾っている部屋に差し込む光で、まるで日時計のように見え方が変化します。飾る人が持つ感覚と時間を共有できるのが、この作品のコンセプトですね。