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Play time

安西泉Izumi Anzai

作品概要

制作年
2018年
エディション
3/7
使用素材
エッチング、雁皮紙、ハーネミューレ紙
サイズ
イメージサイズ/15cm(幅)x10cm(高さ)
額/32cm(幅)x26cm(高さ)
特筆事項
コーニッシュレックス。短毛の巻き毛で逆三角の顔立ちに大きな耳が特 徴のネコ。四肢が長くプロポーションが良い。クールな見た目だが甘えん坊。

これやんの作品コメント

想像じゃなくて写実の究極のような表現。それでいて写実する対象物が希少種だったりすると、リアルなものが消えたときの危うい感じもあって、それを踏まえて描く対象を選び、その理由もあるという。すごくコンセプチュアルで面白い作品やね。
SOLD OUT

STORY

倉本:安西さんの作品を見ていると、まるで動物の生態まで把握したようなリアリティを感じます。科学雑誌「ニュートン」の専属イラストレーターをしていた時期もあったんですよね。

安西:はい、もともと図鑑が好きだったので、夢が叶ったと思いました。ニュートンは専門の学者さんの校閲が入るので、例えば恐竜だったら“足の指の第一関節の長さが違う”という指摘が入って、修正して……というやりとりを100回以上重ねて描きあげます。それによって空想ではなくて、現時点でのリアルな恐竜が描けるので、それが私には嬉しかったです。

倉本:それでこんなにリアリティを持たせられるんや。ある意味、安西さんは動物の造形に最も詳しい人でもあるんやね。それで、現在の銅版技法というスタイルに行きついたのは?

安西:もともと版画に興味があり、学生時代はリトグラフを専攻していました。銅版よりも細かい描写に長けたリトグラフですが、学生の頃はCGを使用してさらに細密な描写方法を研究していました。そんな学生時代から原点回帰して自分の手仕事で描きたいと思ったのが、銅版をはじめたきっかけです。それに、私が子供の頃から好きな図鑑って、昔は銅版を刷って作られていて、それを今の時代にやりたくて。

倉本:本当に好きなことが、そのまま続いているんやね。Play timeのコーニッシュレックスは、これが銅版画なんだと驚いてしまいます。銅の板にこの細かい線を描いていくわけですよね? いや、描いたというかまるで写真のように感じます。

安西:そうですね。こんなニードルで線を描いています。

安西泉

倉本:うわ、こんなに細いんや。僕なんか老眼だから、針先が全然見えない。

安西:私もニードルで作業するときは老眼鏡をかけて、だいたい一ヵ月くらいかけて原版を描きます。「コーニッシュレックス」は他の猫と違ってすごく表情があり、絵のモデルになったエネル君の面構えを版画でも出せたので嬉しかったですね。

倉本:そんなに手間がかかるのに、この作品は7枚しか刷らないという。

安西:基本的には絶滅危惧種や新種ばかりを描いていて、数が少ない動物なので刷る枚数も少なくしています。今回出品した「Play time」というシリーズは、江戸時代に“トラやゾウやクジラがきた”って大騒ぎになったのと同じで、私も初めて見る動物を見て大騒ぎして、“この品種の動物、知ってる?”という投げかけでもあります。作品を見たみなさんにも、自然の造形や不思議さに右往左往してほしいと思っています。

倉本:そういうことなんや。実はすごくコンセプチュアルなんですね。

安西:レンブラントの銅版がまだ展示されているように、銅版は丈夫で100~200年という年月でも保存できます。ですから今、新種と呼ばれている動物たちが100年後には繁栄しているのか、もしくは絶滅してしまっているかを含めて、この時間を残しておきたいです。

倉本:だから銅版なんですね。