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仲良しのしるし

土田圭介Keisuke Tsuchida

作品概要

制作年
2019年
使用素材
鉛筆、ワトソン紙
サイズ
300mm(幅)×300(高さ)
特筆事項
デッサン額
※ご購入の場合、展示予定があるため作品送付は2022年3月5日以降になります。

倉本美津留のこれやんコメント

独自の技法を用いて鉛筆画の新境地を開拓する画家の土田さん。可愛らしさと怪しさが同居した2体のキャラクターが描かれたこの作品は、「仲良しのしるし」というタイトルが表すように、キャラクターのお腹に描かれたマークが交わっているところが少し光っているのが印象的です。仲良しのはずなのに、片割れが涙ぐんでいたりして、説明がつかない不思議な感じもこの作品の面白さと言えます。
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STORY

倉本:土田さんは鉛筆のみを使って描かれていますね。

土田:そうです、色んなことやるのが嫌になったというか(笑)、鉛筆と紙だけで描くことにはこだわっていますが、描く内容についてのこだわりはあまりなくて、抽象とか写実とか関係なく自由にしたいと思っています。でも、それだと統一感がないので、鉛筆の縦線だけを使って描いています。全部が自由というのがあんまり好きじゃないんですよ。

倉本:縦の線だけなんですか! その技法をはじめたきっかけは何だったのですか?

土田:美術の学校に入っていろんな画材を試していたときに、画材によっての技法というよりも、描く内容で勝負したいから初心に戻りたいと思ったんです。それで小さい頃から使っている鉛筆だけで描いてみました。デッサンって面に沿って描いたり、縦横に線を重ねて描くものですが、そのときそれを忘れていて、偶然にも縦の線だけで描いてしまって。で、出来あがったものを見たら“これは気持ちいいな”と。なんだか自分のなかにストンときて、それ以来ずっとこの描き方です(笑)。

倉本:縦線のみという描き方にしても、作品によってぜんぜん違う画風になっていますよね。

土田:描き方はその都度変えています。鉛筆は材質的に反射する性質があるので、それを考慮しています。以前は5センチくらいのストロークで描いていましたが、今は1cmとか5mmくらいの市松模様をランダムに描くことで、光が当たったとしても、一個一個に乱反射するように描いてます。こうすることで反射が抑えられ、濡れたような質感になり“一段と黒く”なります。反射のない黒を求めるならインクや木炭のほうが良いのですが、鉛筆の黒って日の当たり方によって見え方が違ったりもするところが面白いんですよね。

倉本:描くモチーフはどういうふうに着想していますか?

土田:“形のないもの”に形をつけたらどうなるんだろう? という着想から始まっていますね。例えば、リンゴをそのまま描くんじゃなくて、リンゴの匂いを変えてみたらどうなるか、とか。どうせ同じ労力をかけて描くなら写実よりも、世の中にないものや、頭の中にしか無いものを形にする過程のほうが、やっていて面白いんです。鉛筆画ってどうしても下描きとか、写実的な画風をイメージされてしまうのですが、そればかりではないことを知ってもらいたい気持ちもありますね。

倉本:空想的で可愛らしさもある画風ですよね。

土田:自分ではファンタジーという意識はあまりないのですが、例えば「AKIRA」のように、昔見たものの影響はけっこうあると思います。僕はカッコイイとか綺麗なものはあまり描きたくなくて、むしろ汚いものを描いて、そのなかに美しさを出せたら良いと思っています。