真夏のバイソン
作品概要
- 制作年
- 2019年
- 使用素材
- 紙、ペン、アルキド絵具
- サイズ
- 250mm(幅)×160mm(高さ)
- 特筆事項
- 欧州からの入植によって絶滅寸前までいったアメリカバイソンも保護政策で危機は脱しているそうで...かって栄華を誇った誇り高い先住動物にたまには慰安の旅を。これみよがしに入植側の東海岸でね。
これやんの作品コメント
STORY
倉本:山下さんのフォルムもどこかマトリョーシカっぽいと思うねんけど(笑)、なぜマトリョーシカやったの?
山下:(笑)。もともとは広告の造形の仕事で、デザイナーさんが描いたマトリョーシカを作品として木の造形に落とし込んでいたのですが、それをやれる技術が身にあるのなら、自分でオリジナルのマトリョーシカを作ったほうが楽しいんじゃないかと思ってやりはじめたんですよね。なんかとっつきやすかったんです。自分の作品として、マトリョーシカだと素直に出せたというか。
倉本:作品はすべて動物のモチーフだけど、それはどうして?
山下:小さい頃から動物が好きで、ひとりっ子の自分は犬と兄弟のように過ごしてきました。ほんと、動物にはお世話になっているというかね。正直、人間よりも先輩ですし、パターンもいっぱいあって世界も広い。いくらでも掘り下げて遊べるのは実は動物だったりするんですよ、僕にとってはね。仕事で人間の肖像画を描いていた時期もあったんですが……動物を描くほうが正直、全然楽しいです。
倉本:それが犬ではなくて、猫のマトリョーシカだったのは?
山下:猫の作品が多いのは、単純に僕が猫を飼い始めたからです。やっぱり一緒にいると観察できるから。それに、職人としての絵描き・造形屋から、作家へと自分が変わっていったのも猫がきっかけで、それがさっき言ったマトリョーシカだったんです。
倉本:山下さんの作品はどれもしっかりとしたコンセプトがありますよね。例えば『PREHISTRIC ANIMALS – 先史時代の動物たち-』なら、絶滅種の代表がマンモスで、そのなかに小さい絶滅種たちの造形物が入っている。そのセットとしても魅力的だし、生きていた生き物たちがいなくなっていったんだという感覚に思いを馳せることもできる。それに、子供が好きなおもちゃとしての楽しみもあって、いろんな魅力がつまった芸術作品ですね。
山下:そこまで汲み取ってもらえて嬉しいですね。このマトリョーシカはロシアの数え遊びのおもちゃですが、子供が遊ぶときにこういうテーマがあると話も広がるかな、というね。このなかにいるタスマニアタイガーのように、人間の乱獲で絶滅した種もいるように、背後には壮大な歴史やバックボーンがある……ということを感じて作りました。可愛い動物の絵でオブラートに包んではいるけど、現実という残酷さにも気がついてもらえたらと思います。