Ruby Baby
作品概要
- 制作年
- 2018年
- 使用素材
- マット合成紙、水性インクジェット出力
- サイズ
- 353mm(幅)×353mm(高さ)×24mm(奥行き)
- エディション
- 1/3
倉本美津留のこれやんコメント
STORY
倉本:作品を見ていると、ヒロ杉山さんあたりの影響も感じますね。
遠藤:デザイナーとしてグラフィックをはじめたときに、エンライトメントやタイクーン、グラフィッカーズに憧れていたので、影響はあるかもしれません。子供の頃に山口はるみさんや永井博さんの、華やかなイラストレーションに衝撃を受けました。その頃からイラストレーターに憧れはありましたが、特別な才能を持った人しかなれないと思っていて、わたしはデザイナーになりました。でも、どこかでやりたい気持ちがくすぶっていて、2018年からイラストレーターとしての活動を始めました。
倉本:あえて顔を描かないというところに個性を感じます。
遠藤:そうですね、描いても口元くらいまでです。顔をはっきり描くと人格やキャラクターが出てしまうので、それよりも見てくれる方が何かを投影したり、妄想できるほうが面白いかなと思っています。そのかわりに自分の理想の顔をくっつけてもらったらいいかなと。わたしはフォルム・フェチというか、カタチが綺麗なものが好きなので、それを見せたくてクローズアップした構図になることが多いです。イラストレーターというかデザインよりのアプローチに近いと思います。
倉本:作品のモデルとなるものはありますか?
遠藤:ファッション雑誌とか海外のグラビアなどを見て、自分が良いと思うフォルムをストックしていて、そこから引用することが多いですね。大きい瓶に座らせているのは、昔のバーレスクのように大きなシャンパングラスに女の子が入って踊っているのって、何か可愛いなと感じたのがきっかけでした。でも、それをレトロではなく、今っぽく表現したらこうなりました。香水やマスタードの瓶みたいに、自分が好きな無機質なものに、生身の人間が絡むと綺麗なんですよね。
倉本:作品はどんな感じに作っていくのですか?
遠藤:描きたいイメージがあって、それに合うフォルムのストックを探して、それをコラージュして組み立てていく感じです。基本的にはデジタルで作ってプリントするという手法です。
倉本:色使いからは、手描きっぽいニュアンスも感じました。
遠藤:手描きのがいいのかなと思うときもありましたが、コンピューターはわたしにとっては慣れ親しんだ道具ですから、それを使って表現すればいいと思っています。あと、同じ作品は3枚以上刷らないようにしています。それと全体的に艶っぽい作品なので、仕上がり感はマットにしたくて、紙と印刷の質感にこだわりました。プリントと言うと抵抗を感じられる方もいらっしゃいますが、時代的にもこういう表現の仕方も増えていくんじゃないかなと思っています。