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KOBU-STⅡ

黒岩まゆMayu Kuroiwa

作品概要

制作年
2020年
素材
ミクストメディア(布、綿、針金、粘土、他)
サイズ
300mm(幅)×520mm(高さ)×250mm(奥行き)

これやんの作品コメント

Independent Tokyo2019にて審査員特別賞の受賞経験を持つ、立体造形作家の黒岩まゆさん。この作品は“鼓舞”というテーマで、人間が持つコンプレックスや嫉みといった複雑な感情を、装飾として人に纏わせています。白い粘土を使った顔の繊細な表情や意図して汚した質感が、作品にさらなる深味をもたらしています。
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STORY

倉本:この個性的な立体作品はどんな風にして出来上がったのですか?

黒岩:こういった立体を作るようになったのは数年前からです。もともとは絵本のイラストなどを描いていましたが、洋服の生地が好きで骨董市などで集めたりしていました。30代になったときに、今の自分が120%やりたいことがやれていないと感じて、もっと自分が作りたいと思うものに集中したいと思いました。厳しい道とは知りながらも、現代アートとしての作品を作ろうと思ったのがきっかけでした。

倉本:イラストレーターから現代アーティストへ転向したときに、今の作風が生まれたのですね。

黒岩:私は大学で芸術を学んでいたわけでもなかったので、とにかく独創性を求めようと思っていました。私の作品は人形ですが、人形制作の知識や勉強もせずに、とにかく自分が思うまま、独学でやってみようと思って作りはじめました。

倉本:人形として表現されているのはどうしてですか?

黒岩:人間の多様性に魅力を感じるからです。人種や顔、性格、考え方、生き方など、同じ人はひとりとしていなくて、私は街を行き交う人たちをずっと見ていても飽きないんです。そういった人が持つ多様性のイメージを人形として表現していくうちに、多様なのだから何でもアリだと思うようになって。それで直立した人ではなく、いろんな姿勢の生き物になったり、素材も布だけではなくて、木の実だったり貝殻、自動車のランプを使ったり……多様性は“カオス”でもあって、それをポジティブに表現していくうちに今の作風へと至りました。

倉本:作品はどんな風に作っていくのですか?

黒岩:足から上へ向かって作っていきます。足の部分に釣のオモリを使って、そこから竹籤などやワイヤーで芯を作って、腰の部分まで作っていき綿や和紙で肉付けして……本当に感覚的に、手を動かしながら作っていきます。

倉本:いろんな素材を使うことで、無国籍感が出ていますよね。

黒岩:生きることがカオスだと思っていますし、いろんな人に会ってそこから気付いたり、影響を受けたりして……生きるって本当に尽きることがないんですよね。人間のプリミティブな生命力や誰も見たことがないものを作りたいとは思っていますが、そういった自分の人生の過程を表現しているのかもしれません。