sprouting
作品概要
- 制作年
- 2018年
- 使用素材
- アクリル、キャンバス
- サイズ
- 606mm(幅)×727mm(高さ)
これやんの作品コメント
STORY
倉本:印象派にも通じる画風ですが、新さんは絵を通してどんなことを表現しようとしているのですか?
新:すごく簡単に言うと、自然や命をテーマに描いています。ちょっと壮大な話になりますが、世界には膨大なエネルギーやいろんな要素があって、大きな流れや瞬くようなイメージ、はっきりと形がないもの……それらは人間が掴み取れるものでもないと思っています。私たちはそれを各々の視点で見ているので、限られた側面しか見えていなくて。そうやって移り変わっていくなかで、私たちが生きて感じられるものといったら、自分自身の存在や変化する自然、命の力強さや美しさ……そうやって自分が確かに感じられるものを、絵として表現できたらいいなと思っています。
倉本:自分が感じたエネルギーを、作品を見る人へ視覚化しているんですね。そういった手法は描きながら表現できるようになっていったのですか?
新:はい、大学在学中からそういう感覚が何となくはあったものの、具体的に何やったら良いか分からないまま、いろんなことを試す時期が長くありました。大学院を出た時期に、徐々にキャンバスの上でこう描くとしっくり来るというのが見つかっていきました。まだまだ到達はしていないのですが。
倉本:スピード感というか、筆の速度感がありますよね。実際にはどのように描かれているのですか?
新:じわじわ積み重ねていくより、即興性や自分の身体性が大事だと思っているので、表面上に出ている絵の具は短い時間で仕上げています。もちろん色を重ねていくよときは時間をかけますが、ひとつひとつの筆致は速いですね。
倉本:今の筆致の話を聞いて、書にも近いニュアンスなのだろうなと思いました。絵に溢れているエネルギーの原点は、どこにあったのでしょう?
新:絵を描くのは子供の頃から好きでしたが、絵描きとして進もうと思ったのは高校2年生くらいでした。それまでずっと生物に興味があって生物の研究者になろうと思っていました。
倉本:なるほど生物への興味から生まれた指向性が今、絵画作品の意図として反映されているんですね。エネルギー感が強いところは生命力とも言えます。
新:モチーフとしては生き物や植物を使っていますが、表現しているところで言うと、確かにそうですね。