擬音態画伝 にょっぽり
作品概要
- 制作年
- 2021年
- 素材
- アクリル、キャンバス
- サイズ
- 350mm(幅)×530mm(高さ)
これやんの作品コメント
STORY
倉本:OZさんの画は日本画でありながらも、それを完全に更新している印象を受けました。まずは画を描き始めた経緯から話を聞かせてもらえますか?
OZ:物心付く頃から画用紙にでも何でも、円をぐるぐる描いていました。遡るとそういうところから始まっているのかもしれないです。長野県の小布施町に葛飾北斎の記念館があって、小学校1年生の時に両親に連れて行ってもらったときに衝撃を受けてしまったんです。
倉本:幼い頃に北斎の本物の絵に感化されたんですね。
OZ:肉筆と木版の両方を見て、古くもないし静止画だけど動いていると感じました。その時、親に“図録を買ってくれ”と、人生で初めて駄々をこねて。その図録を写し紙で写していて、あと水木しげる先生の描写にも憧れていました。高校の頃に通っていた市立図書館の向かいにあったカフェにたまたま入ったら、そこが人間交差点のような場所で、“絵が好きなら店の外で絵を描いてみたら”と言われたのがきっかけで、15歳からライブ・ペインティングを始めました。それ以来、僕の人生の半分以上はライブで絵を描くということに力を注ぎ込んできました。
倉本:OZさんにとって転機となったのは?
OZ:御柱祭りの様子が描かれた大絵馬が江戸、大正、昭和と奉納されている神社があって、2011年にいきなり“平成版の絵を描いてくれないか?”と依頼されたんです。それから善光寺を題材とした掛け軸の原画などを描かせてもらうようになり……2012年の3月頃に都内のライブペイントの現場で、即興で顔がなくて手足が浮世絵風の絵が ”ボン”っと出てきて、これを描き続けようと思いました。それよりも前はもっとアブストラクトなものを即興で描いていましたが、これをきっかけに配色のトーンも落ちついていきました。
倉本:少年の頃に好きだったフォルムと合致していったんですね。例えば浮世絵ってしっかりと輪郭線があって“こう見ろ”というものですが、OZさんの作品は“もっと想像せよ”という感じがします。それでいてライブ感というか、きっちりと静と動がありますね。
OZ:ここ数年“もの”という言葉を大事にしていて。この言葉は、もともとは霊魂の意味なんです。日本人はもともと見えないものを見ようとしたりしますから、そういう所をくすぐる表現ができないかな、というところからこういったタッチが始まったんだと思います。色味も基本的には金、黒、白の三色と、少し赤が入る程度にしていて、白と黒は対極にあり、数えきれないほどのグラデーションがあります。でも、無数にあるグラデーションからでも金という色は作れない。そこには万物の普遍的なものへの憧れがあり、それを追い求めている……それがこの色味に対するこだわりでもあります。
倉本:OZさんにとって、円は何を表わしているのですか?
OZ:今だにその答えが何なのかを求めています。捉える方々それぞれでもあるし、シンボルだったり太陽だったり、月だったり。OZ=サークルっていうのが海外でも今、認知されてきているので、現段階でこの円は何かというと、私自身でもあり、あなた自身であり、リフレクションする関係だと思います。