大丈夫はウチの下の子の口癖だったので、馴染みのある言葉でした。そこに今の情勢と自分の状況を掛け合わせて制作をするにあたって、今の時代“本当に大丈夫と言えるのか”と、自分の内面に問いかけたらどうだろうと思いました。
そこから鏡を持った人物のイメージが浮かびました。鏡がないと自分の顔を見られないもどかしさ、そこに写る顔は実像なのか虚像なのかを表現するため、画のなかでも鏡は裏面だけで、顔も描かずに吹き飛んでいます。この擬音体画伝の作品は、各作にオノマトペを付けていて、こちらは“うんすん”。気を詰めて唸るという意味です。まさに鏡を見る人が思い詰めて唸っている。見る人にとっては不安を感じるかもしれませんが、それも今の時代らしい雰囲気なのかなと思います。
作品の見どころとしてはマスクの描写です。直接的なイメージがあるので、これまで描くことはありませんでしたが、一度は描いておきたい気持ちがあったので挑戦しました。