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白虎図

若佐慎一Shinichi Wakasa

作品概要

制作年
2018年
使用素材
和紙、岩絵具
サイズ
318mm(幅)×410mm(高さ)

倉本美津留のこれやんコメント

広島大学美術学科の卒業制作を主席で卒業し、日本画という技法ながらにインパクト大の絵画を描く若佐さん。「白虎図」というタイトルからもこれは虎なんだなと思っていると、実は斑柄を用いた豹であることでミスリード、つまりは嘘のままに物語が進んでいくという皮肉を込めた作品です。この世に存在しない幻獣を描くことで見えざるものを表現していますが、日本画の素材を用いながらも色味から立体的な岩絵の具まですべてがヴィヴィッドが超個性的です。いろんな見方でき、見るたびに発見もあるので、ずっと見ていたくなるような魅力を持った作品です。
SOLD OUT

STORY

倉本:若佐さんの作品は岩絵具や和紙といった日本画の素材を使い、とてもポップでエネルギーに溢れた作品を生み出していますが、この作風はどうやって生まれたのですか?

若佐:やっている事は昔から無意識的に共通しているのですが、大学を出る前は今とではまったく違う画風でした。僕は日本画の”院展”という団体にいて、大学を卒業した後もここに所属していたらずっとこのままになってしまう……辞めるなら、そのときしかないと思っていました。その時に初心に戻ったら、今の自分は本当にやりたいこととは逆行していることがわかり、それまでにやってきたことやコミュニティ、先生との関係などを全部捨てて、新たにゼロからはじめました。それで全く違う絵を書き始めて、今の絵になりました。ちょうど30歳の頃に“変わらなきゃ”と思って描いた一枚目の作品が、偶然にもコンペで賞を取り、個展ができるというスタートが切れてました。そこから導かれた感じがしています。

倉本:若佐さんが白虎や龍といった幻獣を描いている理由は何ですか?

若佐:自分が一番興味を持っていたのが人の在り方でした。なぜ僕はこういう物の考え方をするのか、そもそも日本人と欧米人だと、どうして考え方に違いがあるのか、というところへの興味が作品作りの発端になっています。幻獣を描くのも日本人と昔から関係していて、今なお伝えられている“普遍性”があるからで、それを描くことで日本の形として表現したい気持ちがあります。日本というと禅や茶道などをイメージされることが多いですが、日本の“描く”文化を表現したいんですよね。

倉本:伝統的な画材やモチーフを用いつつも、ビビッドな色使いでインパクトの強い画風ですね。

若佐:僕自身、目立ちたがり屋な気質もあるので、見たときに“うわっ”ってなるような力強さとか、血がたぎるお祭りのようなニュアンスを表現したいので、それが画が持つポップさとつながっているのではないでしょうか。例えば、岩絵の具のデコボコした物質感なども、興味を持ってもらえる一因になっているのかなと思います。

倉本:それでいて、目の表現が面白いですよね。

若佐:目玉を丸々とさせていますが、完璧な丸の形って神様しか作れないと言われているじゃないですか? アミニズムというか、そういったものへの畏怖の念を忘れてはいけない……そんな価値観を絵の中に入れたいと思っています。例えば虎の作品なら、虎の形をしたこの世ならざるものを描いていて、だからこそ人間には描けない“丸”を、象徴的な“目”に入れて、表現しています。