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奥村彰一Shoichi Okumura

作品概要

制作年
2019年
使用素材
ポリエステル画布、墨、岩絵具、箔
サイズ
455mm(幅)×530mm(高さ)×20mm(奥行き)

これやんの作品コメント

中国の山水画に独自の感性を加味した画風で「アートアワードトーキョー丸の内2017」をはじめ、数多くの受賞歴を持つ人気作家の奥村彰一さん。今回はこれやんのために描いたという、新作をお持ちいただきました。山水画の隙間を生かした構図を踏まえながらも、意表を突いたさまざまなモチーフ、南国テイストが溢れるパステル調のポップな色使いと、奥村さんの独自の世界がしっかりと表現された力作です。
SOLD OUT

STORY

倉本:奥村さんは日本画を学んできたそうですが、そうとも見えない独特の画風ですね。いろんなスケールや大きさが入り込んでいて、ごちゃごちゃした感じが面白いですよね。

奥村:ありがとうございます。実は日本画以外に中国画を学んでいまして、いろんな大きさのものが混在しているのは山水画の影響で、宋の時代の山水画は大きな風景のなかに小さい風景がたくさん含まれています。僕は子供の頃から日本で育ちましたが、母が中国人だったこともあり、中国がどういう文化なのか実際に行って学んでみたいと思い、大学の頃に休学して中国に絵を学びに行きました。

倉本:絵をはじめた頃はどんなものを描いていましたか?

奥村:思い返してみると、今描いている絵のように細かい世界を作るようなことが好きでした。絵以外だとレゴが好きだったもして……基本的にその頃から変わっていないのかもしれません。

倉本:中国画の影響を受けつつも、それだけではない独特の世界を表現していますが、この世界観はいつ頃に確立したのですか?

奥村:わりと中国から帰ってきてすぐでした。もともとクリムトやエゴン・シーレの造形や線描の美しさが好きで、女性をよく描いていたんです。そこに中国で学んできた山水画が繋がったような感じですね。描かない余白で視点をコントロールする構図などは山水を意識しています。

倉本:なるほど、クリムトと山水画のミクスチャーという化学反応が、こんなにも面白い絵を生み出しているんですね。確かにそうやって言われると、19世紀末のウィーンを彷彿とさせるような、ポップでカラフルな色使いも感じられます。

奥村:岩絵の具は同じ粗さでも色によって質量が違い、混色が出来ないので、大体の場合は重ね塗りをしますが、僕は一つ一つを違う色で描き分けています。例えば同系色でも3つの色があるとしたら、それぞれの色を使い分けることでコントラストを付けています。

倉本:それと、ビール瓶や飛行機のような、突拍子もないモチーフがありますよね。

奥村:そのあたりは想像のなかで終始しているとつまらないなと思っていて、描いているその場の感覚で、思い付いて入れていく感じです。趣味でジャズ・ピアノを弾くのですが、そのアドリブ感に似ていますね。