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「新制作展」の受賞歴を持つ柴田貴史さん。こちらは柴田さんが滅入った気分を解消するために描いた作品で、どこかに連れて行ってほしいという思いをユニコーンの上で横になった子供へ投影しています。可愛らしく描かれたハチや幻想的なタッチは暗い気分というよりも優しさに満ちていて、そこが柴田さんの作品の魅力と言えるでしょう。

朝が来るまでこうしていよう

柴田貴史Takashi Shibata

作品概要

制作年
2018年
使用素材
油彩、キャンバス
サイズ
318mm(幅)×410mm(高さ)×20mm(奥行き)

これやんの作品コメント

「新制作展」の受賞歴を持つ柴田貴史さん。こちらは柴田さんが滅入った気分を解消するために描いた作品で、どこかに連れて行ってほしいという思いをユニコーンの上で横になった子供へ投影しています。可愛らしく描かれたハチや幻想的なタッチは暗い気分というよりも優しさに満ちていて、そこが柴田さんの作品の魅力と言えるでしょう。
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STORY

倉本:すごくファンタジックな作品ですね。画はいつから描いているのですか?

柴田:10年前です。普通科の大学を卒業してから専門学校で画を学びました。大学では国際政治を専攻し、そのときに反戦や差別の抗議をダンスや音楽を通じて表現している人たちから“キミが得意なことでそれを表現したらいい”というメッセージを受け取ったんです。そのときに自分は画が得意だったことを思い出して描き始めました。

倉本:今の画風から意外にも思えますが、最初は政治的なメッセージを込めた画を描こうとしていたのですね。

柴田:そのために国際政治や世界の戦争の歴史などを学び始めたのですが、僕はもともとメンタルが強いほうではなく、学ぶほどに“簡単に戦争反対なんて描けないな”ってことが分かったら、だんだんと暗くなってきてしまい……そういう画に何十時間も向き合って描いていたらおかしくなってしまうと思って、自分を励ますために描くうちに今の作風になっていきました。

倉本:メッセージ性の反動で、こういったメルヘンな画風が生まれたと。

柴田:はい、何よりも描いていて“楽”だったのが大きかったです。でも、この作風をはじめた頃は迷走していて、この画のなかに戦争のテイストを加えたこともありました。そうしたら自分の展示を観に来てくれた方に“今は社会が暗いから、画くらいは優しい気分で観たい”と言われて、それまではどこかで反戦のテイストを“描かないと”と思っていましたが、その必要がないことに納得できて、今の画風に落ち着いていきました。

倉本:人の役に立つという意味では、反戦の画も人の心を優しくする画も同じですからね。今表現している画は、理想郷のような感じですか?

柴田:幼い頃に自分が描いていた画に近いですね。自然の風景が多いのは、その頃に山で遊ぶことが多くて、天気雨や狐の嫁入りを見つけようとドキドキしながら山を歩いていました。今、自分が住む場所も森が見えるところで、普段の風景を見ながらそこを少し歩いて森を抜けたら、違う世界があったらいいなと思って描いています。

倉本:モチーフはどう決めていくのですか?

柴田:その瞬間に思ったことを描いています。僕はそのときの感情によって絵柄が変わるので、10枚くらいの作品を同時に描きながら、そのときの気分に合った作品に手を付けていきます。僕はデッサンをして描くことにもストレスを感じてしまうので、とにかく自分が楽でいて、感情が冷めないうちに描くようにしています。昔はもっとダークな色を使った画も描いていましたが、描き終えたものを観たときに自分が辛いと感じたこともあり、今はどんなときでも綺麗な感じの画を描けたらいいなと思っています。