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ハンガリー民話花輪と鳥より「花輪と鳥」

竹村東代子Toyoko Takemura

作品概要

制作年
2019年
使用素材
和紙、銀箔、水干絵の具、墨、アクリルフレーム
サイズ
370mm(幅)×490mm(高さ)
販売価格¥88,000(税込み)

倉本美津留のこれやんコメント

植物の細密画や企業広告のイラストなども手がけている切り絵作家の竹村さん。この作品はハンガリーの寓話からインスピレーションを受けていて、日本画材や金箔を使った独特の色味、花のモチーフを繊細に切り抜いた細い線は細密画のよう。竹村さんが得意とするキノコの切り絵とはまた異なった美しさを持っています。
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STORY

倉本:まずはじめに、なぜ切り絵という表現をはじめたのですか?

竹村:学生の頃はボールペン画をやっていましたが、いろんな作品と一緒に展示をした時に、ペンの線は“弱い”と感じたのがきっかけですね。ペンだと線の幅がコンマ数ミリありますが、切り線が一番細くて精度も高い。ですから、最初は切り絵で切った線の中にペンで書いたものを重ねていましたが、徐々に切り絵だけになっていきました。つまりは線を追求した結果ですね。

倉本:なるほど、線の追求ですか! ベタな質問ですけど、これを作るのは大変な作業ですね。

竹村:ええ、切るときは切っ先や先端に合わせて集中しないと、焦点がぼやついてしまいますね。ちなみに下書きは裏から書いてから反転させますが、アバウトに描いてフリーハンドで切っていきます。

倉本:切ることですべてを表現していくんですね。紙は何を使っていますか? 色は黒が多いですが、色彩があるものには独特のグラデーション感があります。

竹村:紙は富山の越中和紙を使って、そこに日本画の絵の具を溶いて、色を何層かに塗っています。例えば明るい色でも裏面に墨を塗ると切った柄がよく見えるようになります。あと、金属みたいな質感を出すには、銀箔や金箔を貼ってその上に絵の具を重ねたりしています。

倉本:今回はきのことは違うモチーフですね。

竹村:これはハンガリーの民話をテーマした個展で制作したものです。私はいろんな国の民話が好きで、そのなかでもハンガリーはいろんな文化が交錯していて、民話もこれまでに聞いたことがないような面白い話が多く、テーマにしてみました。これは王様が2人の娘に花輪と鳥を渡して旅に出る寓話で、行いが良い娘は花輪も綺麗なままで、行いが悪い娘のほうは花輪もボロボロで鳥も死んでいた……という話で、行いが良い娘さんが持っていた綺麗な状態で咲いている花輪ときれいな鳥ってどんなものだろうと思って、切り絵標本にしました。