Very Long Tortoise
作品概要
- 制作年
- 2022年
- 素材
- パネル、ミクストメディア
- サイズ
- 200mm(幅)×200mm(高さ)×100mm(奥行き)
これやんの作品コメント
STORY
倉本:金丸さんは独特の視点で動物を描いていますが、動物を描くようになった理由は何でしたか?
金丸:学生時代は写実的でリアルな画が好きで描いていましたが、思ったように描けない苦しさがあり、その息抜きにと難しく考えずに動物の画を描いたら楽しかったのがきっかけでした。上野動物園で動物や魚をずっと描く時期があって、それが僕にとっては心地良さを感じる時間でした。なぜ動物を描くのかを改めて考えると、自分の思いを投影する対象が植物だと距離を感じるし、かといって人物は生々しさがある。その点でも動物は、画との距離感が自分にとってはちょうど良いんです。
倉本:それで写実的な表現から離れていったのですね。今の抽象的な画風へと至った道筋はどういったものでしたか?
金丸:抽象的な絵画は昔から好きで、影響を受けたパウル・クレーとかエゴン・シーレのように具体的なものを描きながらも、抽象化させているニュアンスが好きでした。
倉本:ああ、なるほど。エゴン・シーレがもし動物を描いたと想像したら、その延長線上に金丸さんの画風がある気がします。しかもその影響が昇華されているので、今の話を聞いてより金丸さんの作品が魅力的に見えます。画の独特の質感に関してはどうですか?
金丸:僕の師匠にあたる大藪雅孝先生のマチエール(絵肌)のように、重ねて盛り上げていくような画風に魅力を感じていたのも大きく、そういったテクスチャーを重視しながら、動物をどう表現するかということをやりはじめて、今に至っています。
倉本:少し退化したようなボケ味があるテクスチャーも特徴ですね。壁画のようなテイストも感じます。
金丸:確かに壁画の朽ちた感じはあるかもしれないです。少し時間が経過したような古びた表現が好きですし、もともと画家を目指すようになったきっかけが、山口華楊のような渋い日本画のテイストの画だったので、土っぽかったりマットな質感の画は昔から好きでした。普段画材として使っているクラックパウダーも原材料は泥の一種だったりして、やっぱりそういうものが自分の肌にも合いますね。