観覧車
作品概要
- 制作年
- 2014年
- 使用素材
- シール、アクリル、パネル
- サイズ
- 652mm(幅)×500mm(高さ)
これやんの作品コメント
STORY
倉本:シールを使って“夜景”を表現するというのは独特ですね。キャッチーだしエッジも立っている。どういうきっかけでこういう表現になったのですか?
大村:横浜の高台に住んでいたことがあって、みなとみらいのランドマークタワーの夜景をよく見ていました。部屋には父親が持っていた香港の夜景のパズルが飾ってあり、自分が美術家になろうという日々に毎日それを見ていました。でも、17歳くらいのときに両親が離婚をして、父がその作品を持って行ってしまったんです。ある日、その絵がなくなったときの喪失感が大きいことに気がついて。もしかして美術家になることで、この絵をとり戻そうとしているんじゃないかって改めて思いました。芸術というものを教えてくれたのも父親でしたから。
倉本:それが“夜景”につながっていたんですね。
大村:もともとアイディアを形にするということが好きで、美大の油絵科にいたのですが、絵を描かずに映像やインスタレーションを作っていました。シールを使いはじめたのは、たまたま手元にシールを持っていて、これで何かできることはないかなと考えときに、ふと夜景にいきつきました。
倉本:夜景以外の風景というのは考えられなかったんですか? 例えば昼間だったりとか。
大村:そうですね。光のひとつひとつをシールで置き換えられるのが重要で、それが昼間だとするとコンセプトとして意味がなくなってしまうから、そこは崩したくないんです。昼間のビルをシールで表現しようとすると、絵の具の重ね塗りと同じになってしまいますから。
倉本:シールで色を忠実に表現しているんですね。
大村:シールの色には限りがあるので、それを組み合わせることで遠くから見たときに、色が混じり合っていくように見えるようになります。絵の構図的には建物を無くしたりもしますが、色に関してはかぎりなく本物に近づけるようにしています。
倉本:なるほど、それで近くで見たときと遠くでみたときにマジックが起こるんやね。
大村:はい、近くで見たときはシールの素材感などを見てもらったりして、距離感による見え方の違いを楽しみながら、じっくり時間をかけて見ていただける作品を作っていきたいなと思っています。