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いんすぴ展 アーカイブ企画 #3 「あそびごころ」

日本語×現代アートの企画展「いんすぴ」展Vol6は、5月8日までパークホテルで開催中です! この記事では過去のいんすぴ展の作品を取り上げ、この企画の面白さを掘り下げます。
いんすぴ展は毎年、アーティストにそれぞれのことばをテーマに作品を制作してもらいます。テーマの言葉は毎年新しいものに入れ替えず、毎年同じものを用いています。そのため同じテーマで制作された作品も多く存在します。この記事では過去に同じテーマで制作された作品を紹介します。

今回は言葉のとおりに“ユーモア”や“あそび”が必要となるテーマで制作された、過去のいんすぴの作品をご紹介します。

 

「あそびごころ」

 

【作者コメント】

「あそびごころ」という言葉を最初聞いたときに、パッとふたつのモチーフが思い浮かびました。ひとつは江戸時代の絵師、歌川国芳で、もうひとつは落語です。このふたつのモチーフをリンクさせ、ミックスした作品ができないかと思いました。娯楽が規制されていた時代に、国芳がだまし絵や暗号的な作風でを用いて描いた、シニカルで反体制な作品にはとても「あそびごころ」を感じます。権力に対して正面からぶつかるのではなく、風刺的にユーモアを散りばめながら表現していく。これは落語にも通じるなと感じました。国芳の有名な寄せ画のなかに細かく描いているモチーフは、落語に登場するキャラクターになっています。

 


 

【作者コメント】

去年は「まじで」で困ったのですが「あそびごころ」と聞いてこれはやりやすいなと、はじめは思いました。しかし、よく考えたらほとんどのアートが「あそびごころ」にあふれていて、改めて考えると逆に難しいテーマでした。
自分なりに「あそびごころ」があると感じる作品に、シュルレアリスムのマグリットやダリ、エッシャーもだまし絵などが「あそびごころ」があるなぁと浮かびましたが、デュシャンがモナリザに口ひげを付けたパロディ作品を見て、「あそびごころ」=パロディがいいなと思いました。
そこでモンドリアンの1920年頃の作品「コンポジション」をもとに、イブ・サンローランが1965年に制作したドレスが好きで覚えていて、そのパロディ化したドレスを自分の作品に落とし込んでみようと思いました。
絵画からドレス、そして僕のシロクマに着せることで、また新しくパロディになったかなと。パロディは元ネタがわかっていることで面白さが増します。有名なアート作品の著作権が切れてTシャツやエコバッグになったりして、現代の消費社会に入り込んでいる面白さも連想して見てもらえたらうれしいです。

 


 

【作者コメント】

「あそびごころ」と聞いて、自分っぽい言葉だなぁ!と思いました。
言葉の意味を調べたら「必ずしも必要ではないが、余裕のあるいたずらごころ」とあって、家の中で幼い時に遊んだおもちゃのことを思い出しました。おもちゃは親が買い与えてくれたものですが、今ではガラクタとなっています。しかしそれは金銭的・精神的な余裕から生まれたある種の「親の愛のカタチ」であり、「あそびごころ」では?と気付きました。だからガラクタをモチーフにこの絵を描きました。
ガラクタにまみれている子供のような自分を投影して、大人にならなきゃという気持ちも表しています。普段は作品に意味を込めたいと考えているのですが、この作品を描いているときは無我夢中で、なぜこんな絵になったのか良く分からなくて、それがなんだか面白かったです。
描かれたガラクタたちを見て、昔の思い出がよみがえってくる人もいるのではないかと思っています。

 

 


 

【作者コメント】

最初は楽しい絵がいいなと思ったのですが、すぐには思いつきませんでした。
娘と積み木で遊んでいるときに思いついた作品作りのことを思い、それは「あそびごころ」で始めたことだなと思いました。
この作品は「あそびごころ」で始まって「あそびごころ」で終わってます。
積み木を使ったスタンプだけでなくビーズや石を足しています。
それも「あそびごころ」です。
積み木を使った作品は積み木の自由な組み合わせが原子のように感じていて、ものの起源を想ってます。
この作品は筆で書いているわけではないので、偶然できた歪みや、擦れをアートの懐の深さというところも感じてもらって、身近なもので遊ぶ楽しさが伝わればうれしいです。


 

【作者コメント】

タイトルは“目玉焼き”です。プロデュースから制作までの過程を描きました。もともと僕の中に魔女のキャラクターがあり、このような不思議な状況を表現しました。面白いなと思える発想と自分の「あそびごころ」です。
作品は届くところに届くと思ってます。シンプルで見た通りだということと、日本ではなかなかありそうでない色味を感じてもらいたいです。自分の中で一番、納得できるわかりやすくてシンプルな絵を、実はいろいろと工夫して描きました。

 


 

【作者コメント】

「あそびごころ」というお題から子供をイメージしました。子供たちの遊んでいるマインドが、ピクチャーレコードになっているという作品です。
レコード溝の1本1本を描き入れて、立体的に表現しました。レコードも導入部分や曲間の空白の部分にもこだわりました。キャンバスをレコードに見立てているのも「あそびごころ」です。細かいところまで、よく見てもらえたらうれしいです。

 


 

【作者コメント】

「あそびごころ」と聞いて子供の頃の遊びを思い、いろいろな手遊びを思い出しました。「みかんの花」と言う手遊びをテーマに創作しました。みかんの花が白いので、白い貝殻で、手遊びしている2人をみかんの上に乗せて、という「あそびごころ」で作りました。
見てもらいたいところは手の部分です。台座から首のところまで1本の木で作っています。木でできた手の掘りこみの暖かさを感じてもらえたら嬉しいです。

 

 


 

 

いかがでしたか? 今回紹介したテーマの言葉「あそびごころ」は、アーティストの思考がユーモアが色濃く反映されるキーワードのようにも感じます。童心がテーマになることが多いのも特徴で、他にもイメージの組み合わせやパロディと捉えたりと、いろんな試行錯誤が見てとれるのも面白いですね。

現在開催中のいんすぴ展では前期の作品で「あそびごころ」の作品があります。下記の前期特設サイトよりご覧ください!

 

「いんすぴ」これやん展Vol.6 後期

会期:4月6日(日)〜5月8日(木)
会場:パークホテル東京Corridor Gallery 34
開催時間 11:00〜17:00(入場無料)

いんすぴ後期特設サイトはコチラ

いんすぴ前期特設サイトはコチラ

 

文:これやん編集部(2025年5月2日)

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