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Heart

広垣彩子Ayako Hirogaki

作品概要

制作年
2017年
使用素材
マッチ棒、ミクストメディア
サイズ
130mm(幅)×270mm(高さ)×110mm(奥行き)
販売価格¥110,000(税込み)

これやんの作品コメント

僕が子供の頃はマッチといったら、赤いマッチ棒が一番主流やったし、自分がめちゃめちゃよく知ってるものが、全然違うものとしてここで再生されているという。“マッチ棒の頭をこうするか!”っていうのが、この作品の面白さ。で、作品のストーリーを聴いたらとても深くて、なるほどなぁと納得できる。僕がアートを見たときに心を奪われる瞬間がつまった、大好きな作品です。
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STORY

倉本:2018年のアートフェア東京で、1番最初にグッときたのが広垣さんの作品だった。すごく不思議な感じがして、何で作っているかもよくわからへんし、見たことないようなものだったんです。広垣さんはガラスの専門学校を出ていますが、ガラスを好きになったのはどんな経緯だったの?

広垣:物心ついたときに、海の浜辺に落ちているシーガラスに見て感動したのがきっかけですね。最初はただの石ころだと思って拾ってきたものが、水に触った瞬間に透明になって“なんだこれは!”って衝撃を受けました。それからガラスと言う素材に惹かれて、その頃から将来はガラス作家になろうと思っていました。最初は吹きガラスの作家になるつもりでしたが、学校に入って学んでいくうちに、どんどん違う方向にいきました。

倉本:このハート型の作品は……

広垣:これはガラスではなくて、マッチ棒でできています。

倉本:ガラス作家なのに、マッチ棒なんや! なんでやねん!って感じですが、これマッチ何本くらい使ったの?

広垣:2000本近くですね。ガラスは無色透明なので“存在しているようで存在しないような”素材として、面白いと思っていますが、素材は自分が作りたいイメージやコンセプトに合わせて選んでいます。この作品は美術のために作られた素材、つまりキャンバスとか絵の具を使わないで芸術作品を作る「アルテ・ポーヴェラ」という芸術運動と、私が子供の頃に好きだった「マッチ売りの少女」の話が背景にあって。少女がマッチをすって夢を見るときのマッチって、少女の命のメタファーみたいなものじゃないですか。自分の命を燃やして、何か情熱を捧げれられるもの……というコンセプトで作りました。結局人生って最終的には燃えてなくなるわけですが、その間に何ができるかみたいなことが重要なんだと思います。だから、単純にこの作品が燃えている動画にしても、面白いなと思っています(笑)。

倉本:面白い! けど、もったいないわ!(笑)。

広垣:作品を見て、物語を自由に想像してもらえれば嬉しいですね。あまり自分の思い入れとかは、そこまで人に伝わらなくてもいいや、と思っていて。それよりも、よく見たら、これは何で作られているんだろうとか、“マッチなの? 燃えちゃうじゃん!”みたいな(笑)。連想ゲームじゃないですけど、そこからいろいろと想像してもらえると。

倉本:この作品、まずは見た目の不思議さに心を捉えられるけど、話を聞いて見ると、その奥深さに魅了が倍増しますね。