「もったいない」ことは身近にありすぎて、言葉のイメージを捉えるのに迷い、見失いました。 アンコウやクジラのように“捨てるところがなく”、全身を食べられ、かつ工芸品にもなるものは“もったいなくない”ような気がします。
他にも“捨てるところがないもの”を何なのかと調べるうちにアホウドリにたどり着きました。今は絶滅危惧種ですが、明治時代は鳥島にたくさんいました。そこに羽を使って布団を作る実業家が現われ、羽をむしられたあとは骨ごと肉も肥料にして売られ、アホウドリは激減しました。この“捨てるところがないもの”は“もったいなくない”とは違うように思いました。
「もったいない」の延長に見えてきた残酷さや惨さを作品としてつくりました。もしかしたら今回のテーマである「もったいない」を通り過ぎてしまったかもしれません。