チョコレートの街
作品概要
- 制作年
- 2012年
- 使用素材
- 木製パネルにアクリル絵具
- サイズ
- 333mm(幅)×190mm(高さ)×20mm(奥行き)
これやんの作品コメント
STORY
倉本:絵を描き始めるようになったのはどんなきっかけでしたか?
伊藤:高校生の頃までお絵かき教室に通っていて、子供の頃は人の顔を描いていました。そこからだんだんと想像で絵を描くようになり、美大を受験する時には石膏デッサンや写実もやるようになって、大学に入ってからは抽象画や風景画を描いていました。卒業後も風景を描く時があったり抽象画を描いたりして、最近はまた人物が出てきたり、描くモチーフは行ったり来たりしていますね。
倉本:自分らしい作風へと到達するまではどんな感じでしたか?
伊藤:それがいまだに自分の作風は分からないんですよ。紙やキャンバスに描くことから始めて、10年くらい前からひょうたんに絵を描いたり、あとは壁画もやってみたり、他にも絵本の挿絵などのイラストを描いていまして。ともかく“描く”ということは共通しているので“どの絵を見ても伊藤香奈”というようになってくれば、確立したと言えるのかなと思っています。私の個展を見に来てくれる、5歳くらいのお子さんがいて、その子が幼児雑誌の挿絵を見て“これ、ひょっとして香奈さんの絵じゃないか”と言っていたと、その子のお母さんから聞いた時は嬉しかったですね。
倉本:モチーフはどのように決めているのでしょうか?
伊藤:完全に感覚で、その時に“これだ”と思ったものを描いています。モチーフは描く時に見るのではなく、自分の中にインストールしておいた後で、データが出てくる様な感じです。ただ、自分の中に入っているものしか出てこないので、そういった意味では見たものの影響があるとは思います。私はその時々の感覚を大事にしているので、乾くのが早くて発色が良いアクリル絵の具で描くことが多いです。アクリルはその時の感覚を投影しやすいんです。
倉本:絵本の挿絵は感覚とは違って、まず先にストーリーありますよね。
伊藤:ええ、まずストーリーをいただいて、調べたりしながら描いています。虫や小さい動物など、文章に無いものを描くのも好きですね。次のページでその文章に無いものが動いているといったような遊びができるのは、挿絵の面白さですね。
倉本:影響を受けている作家さんはいますか?
伊藤:はい、大学3年生の時に出会った三重県の小林研三さんに影響を受けました。その頃、大学では“コンセプトが重要”と言われていたのですが、お絵かきが楽しくて描いていた私にはそれが分かりませんでした。そんな時に小林さんの展示を見て、こういう気持ちで絵が描けたらいいな、と思うようになりました。それから小林さんの収蔵作品の多い画廊に作品を見に行くようになり、今はその山画廊で展示をさせてもらうようになりました。私は2歳の頃から絵の教室に通い、ずっと絵を描いているので、幼稚園に入る前から基本的に、生活が変わってないんです(笑)。