積層が表現する 時の流れ 金丸悠児積層が表現する 時の流れ 金丸悠児

積層で“時の流れ”を表現する画家、金丸悠児先生の新たな作風である「コラージュ・シリーズ」の作品を紹介します。インタビューと合わせて、金丸先生の絵画の特徴でもある独特の風合いを作る制作過程やコンセプトを収めたドキュメント映像も合わせてご覧ください。

これやん制作の過程を見させてもらいましたが、下地を幾層にも重ねることで独特の質感になっていることが分かりました。

金丸これは私が日本人であることにも関係すると思いますが、絵を構成させるときに、三次元で物を捉える欧米的な美意識よりも、平面の重なりで奥行きを出していく“積層”のイメージが強くあります。ですから、制作自体も絵具を重ねる行為を通して、時の流れや時の蓄積を表現しています。

これやん時の流れや蓄積というのは、金丸先生が描くメインのモチーフでもある“亀”とも繋がりがあるように感じます。

金丸私がはじめて描いた動物の絵が亀でした。“亀は万年”とも言うように悠久の時間を感じさせてくれます。亀の甲羅のゴツゴツした感じや皮膚のザラザラ感に、自分が美しいと思う絵画表現と近しさを感じました。

これやんどんな意識で動物を描いていますか?

金丸描こうとする動物と向き合ったときに出てくる感情は、パートナーや家族、あとは神様などですね。動物はそういった何かしらの想いを入れる“器”のような存在です。最近の作品に描いている家や街も人の生活や想いが蓄積された器だと思っています。

これやん今回お持ちいただいたコラージュ・シリーズのコンセプトについて教えてください。

金丸絵の中により物語を感じられたり、鑑賞を楽しむためのギミックを込めたいと思ってはじめたシリーズです。描き込んだ布や英字新聞などを貼り付けていて、そこには黒電話や昔ながらの扇風機といった懐かしいものを描いています。描かれている動物は作品によってはあまり目立たなくなることもありますが、確かにそこに存在しています。作品を見る方によっては気づかないものもあったりして、それを私のなかでは“記憶の断片”と位置づけています。

これやん金丸先生が作品で表現している、時間の流れのなかに漂う記憶の断片は、金丸先生自身の記憶がもとになっている、そんな印象も受けました。

金丸それはあると思います。自分自身や鑑賞者とのつながりを作りたいという思いからコラージュ・シリーズは生まれています。ですから、ノスタルジーや懐かしいと思う記憶を、絵画を通して共有したいのだと思います。

作品一覧