言葉の意味よりも自分にとって今回は過程に意味がありました。私はいつも作品を描いてからタイトルを決めるので、タイトルありきで作品をつくるのは今までと逆の行為でした。まずは連想から始まりました。「おかげさま」から連想し「負うた子に教えられて浅瀬を渡る」などのような、お互いに作用しあっているシチュエーションを考えましたが、あるひとつの状況に当てはめるより、漠然と広く捉えられる絵のほうがいいなと思いました。そこで思いついたのが「お辞儀」という行為です。お辞儀をする人、カルタから連想されるおめでたいイメージから、舞妓さんに行き着きました。普段はわりと単色で、要素を削ぎ落とした作品を作っているので、今回はここぞとばかりに、華やかで手数の多いものを作りました。具体的な連想からどんどん漠然とさせ、抽象化していく作業はとても新鮮でした。自分の思考のプロセスをたどることができて、すごく面白かったです。