「おいしい」っていうことばや感覚の中には、たくさんのものが詰まっていることが、描きながらわかっていきました。まず土や水、太陽などの恵みから始まり、それをどう調理するかっていう段階で、人のアイデアやインスピレーション、想いが加わってくる。それを掘り下げていくと、おいしく食べてもらいたいっていう、愛みたいなものに辿り着いたんです。人の想いや受け継がれてきた、知恵みたいなものまでをまるっと含めて、食べているんだなって思ったんです、「おいしい」って言いながら。だから、口も描いちゃいました。
すごく俯瞰で見ている宇宙的なイメージがあったので、量子、粒子のいろんな色が混ざったさまを、点々で描いていきました。するとこう、立体的になってすごい面白くて。むずかしくはないんですが、アクリル絵の具を細い筆でちまちまやっていくのは果てしない作業でした。だけど、そういう細かい仕事が好きみたいです。気持ちが上がる、元気になる、ぱっと華やぐ、みたいな色の使い方が好きです。見てくれた人に「ごきげん」になってもらうことが大事だなと思っています。